家造りで検討すべきポイントのひとつに、「耐震性」があります。耐震等級2や耐震等級3といった言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。ここでは、耐震等級とは何か、等級1~3の違いなどを紹介します。
耐震等級とは、地震に対する建物の強さを表す指標のこと。2000年に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づいており、耐震性能は等級1~等級3のランクに分けられています。
家を建てる際、施主が「地震に強い家をつくりたい」と思っても、どのくらいの強度を確保するべきかは判断しにくいもの。そこで耐震等級のランクを見て判断することで、その家がどのくらいの耐震性を確保しているのかがわかります。
参照元URL:国土交通省|住宅性能表示制度かんたんガイド(※PDF)(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001586565.pdf)
耐震等級1は、建築基準法で定められた「最低限の耐震性能を満たす水準」です。
「数百年に1度程度(震度6強~7程度)の地震に対して、倒壊・崩壊がない」、「数十年に1度発生する地震(震度5程度)に対して、住宅が損傷しない」という基準を満たすつくりになっています。
なお、耐震等級1の建物は震度6強~7程度の地震が起きても倒壊・崩壊する可能性が低いものの、建物が損傷を受けることが予想されます。「一定の損傷はあるが、倒壊や崩壊は起こらないだろう」という水準のため、場合によっては修繕や住み替えが必要となることを理解しておきましょう。
耐震等級2は、「耐震等級1で想定している1.25倍の地震力に耐えられる建物」を表します。数百年に1度の地震に対して、損傷しても修繕すれば住み続けられる可能性がアップします。
長期優良住宅の認定を受けるためには、耐震等級2以上の建物であることが求められます。また、災害時の避難場所として使用される学校などの公共施設は、耐震等級2以上でなければなりません。このことから、耐震等級2の建物はある程度地震に強い建物だといえるでしょう。
耐震等級3は、「耐震等級1で想定している1.5倍の地震力に耐えられる建物」を表す最高等級。「数百年に1度の地震に対して、軽微な修繕程度で住み続けられること」を想定しています。震度7程度の地震が複数回起こっても、倒壊・崩壊といった大きなダメージを避けられるでしょう。
たとえば、災害時の救護活動をおこなう消防署や災害復興の拠点となる官公庁には、耐震等級3の建物が採用されています。
参照元URL:国土交通省|新築住宅の住宅性能表示制度ガイド(※PDF)(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/hinkaku/061001hyouji.pdf)
「耐震等級3」と「耐震等級3相当」は、似ているようで異なります。
まず、耐震等級3相当は、法律で定められた用語ではありません。住宅会社が耐震性をアピールするためにつくった言葉であり、耐震等級3と同等レベルの耐震性を確保した設計であることを表しています。
つまり、耐震等級3が法律に定められた水準を満たしているのに対して、耐震等級3相当は評価機関による評価が行われていません。
もちろん、「相当」というのですから、耐震等級3のような地震に強いつくりを目指して設計されています。しかし、評価機関による評価を受けていないと、建物性能を第三者へアピールする際に影響します。たとえば、地震保険の割引が受けられない・長期優良住宅の認定を受けられないといったデメリットが発生してしまうでしょう。
耐震等級3の建物は、どのくらいの震度まで耐えられるのでしょうか?2016年4月14日・16日に発生した熊本地震におけるデータを参考にしてみましょう。
熊本地震では、耐震等級1と同等レベルの建物が大破・倒壊した棟数が19棟であったのに対し、耐震等級3の建物では大破・倒壊はゼロ。大半が無被害であり、軽微・小破も少数でした。
ただし、耐震等級3ならどんな地震にも耐えられるというわけではありません。耐震等級と震度を結びつけて考えることは難しいといわれています。耐震等級制度で判断基準となっているのは「どのくらいの地震力に耐えられるか」であり、震度を参考にしていないためです。
熊本地震では、等級3の建物が揺れに耐えたというデータがあるものの、地盤の強さなど状況によって被害の大きさが変わる可能性もあります。あくまで目安として考えておくとよいでしょう。
参照元URL:国土交通省|「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書のポイント(※PDF)(https://www.mlit.go.jp/common/001155087.pdf)
耐震等級について理解していくうちに、「耐震等級3を確保していないと危険なのではないか」と不安になるかもしれません。家造りの優先順位において高耐震性の確保が重要なのであれは、耐震等級3を満たす方が良いでしょう。
ただ、耐震等級3を確保するうえで「建築コスト」や「広さや間取り」に影響が生じます。
まず、耐震等級を上げるとより多くの建築材料が必要なため、材料費や設計費、施工費などがアップします。また、評価機関による評価のための時間も必要になり、工期も延長します。
さらに、建築コストがアップすることで、希望の広さを実現できないことも。耐震性確保のために間取りが制限されることもあるでしょう。
家造りにおいて耐震性に最もこだわりたい、というわけではないのなら、工務店へ相談しながら耐震性能を決めていくことをおすすめします。
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※1参照元:e戸建て(https://www.e-kodate.com/bbs/thread/9572/)
※2参照元:注文住宅の達人(https://chumon-jutaku-tatsujin.com/ichijo.html)
※福島県(福島・郡山・いわき)全域にモデルハウスをもつ工務店・ハウスメーカー10社のなかで、「モデルハウスが標準仕様」と公表している会社を紹介しています(2020年5月時点)。